リールパーツの超音波洗浄
オーバーホールめんどい。
年々、オバホをする回数は減っていき、いまや、1シーズン1回。シマノとかの整備性最悪のリールならば、1シーズンに1回とかは理解できますが、アブのOHが年1回というのは、メインにつこてるリールだけに、ズボラとしか言い用がないんだけども、めんどいんだもんしょうがないです。
で、そのめんどい理由ですが、アブなんぞ、分解組み立てはあっという間に出来ますから、アブのOHのめんどい理由は、パーツ洗浄に他なりません。ギアを1個1個手に持ち、パーツクリーナーで汚れを吹き飛ばすわけですが、まず、パーツクリーナーが臭いので外でやらんといけん。土日は釣り行ってるから、やるなら平日ですが、平日は夜。夜はよぉ見えん。でもって、パーツクリーナーが手にかかると気化熱で指はしもやけ状態。ゴム手袋してやるとうまくつかめずに、パーツクリーナーの風圧ごとどこかに吹き飛んでしまう可能性もあります。
だもんで、兎に角めんどいんです。初心者の頃は、このめんどさがリールの愛くるしさなんて思うこともありましたが、作業手順が完全に固定化された今となっては、ただの単調作業でしかなく、嫌な作業その1です。これはフロッグチューニングでも全く同じです(爆)
話は変わりますが、塗装関連で、エアブラシツールドットコムで、便利グッヅを色々物色していたら、エアテックスから、超音波洗浄器が出ていました。しかも値段が2マソ!安い!おそらくノズルやらニードル洗浄で使われるのだと思いますが、超音波洗浄器といえば、研究機関で使われる高価なメカで、そんなハイテクマシンが2万で出ているなんて、高い!安い!仕事シッカリです!
で、思ったんですが、これつこて、リールのパーツ洗浄が出来ないか?と思ったわけです。
早速、「リール 超音波洗浄器」で検索かけてみると、
嗚呼!
すでに導入している人がいるじゃないですか!?考えることは皆同じとはまさにこのこと。でもって、そのレポートを見てみると、普通に汚れが落ちとる!で、驚くことに、値段が2000円くらいであるみたい(^^)ケタがちごとりますがなw
どうも、めがねの洗浄で使われるみたいで、おおむね3000〜5000円ってとこですな。でもって、選定をしましたが、便利そうなのが、
東芝のTKS200でありまして、これは浴槽が取り外しできるという優れものなのです。通常、超音波洗浄器は浴槽と本体が一緒になっており、水を替えるときは本体ももっていかないけんものなのですが、これだとバスが取り外しできるので、それが楽wとういうわけw
だもんで、気になっていたわけですが、電機屋に行って見ると、なんと2000円というアウトレット価格でソニックウェーブという超音波洗浄器がコンニチハwちなみに説明書ありませんwボタン一個しかないし、説明書なんていらんじゃろ!?リール洗浄にまともに使えるかまだ分からないし、東芝のは6000円もするので、いきなり買うのはリスクが高いしで、まずは、この安いので実験してから本格的に選定をしようと思い、なかば人柱的衝動買いで、購入しました〜
これがソニックウェーブという激安超音波洗浄器です。ザルが付いていますw
リールをばらして、中に入れてみました。浴槽の中は水です。一応、水しかいれちゃだめ!と書かれています。
スイッチを入れました。
すると、ブーン!という音がして、30秒くらい経つと、油脂のようなものが浮いてきて、
浴槽の水が曇ってきました。油が落ちているのかな?
よーに見てみると、ラインキャリエエジのクボミ内の隙間のゴミが震えて浮いていますw
動画で確認。動いていますw
で、ソニックウェーブですが、3分ほどしたら、勝手に止まりました。
ザルを出してみると、浴槽の水がにごっています。これがリールパーツの油汚れ!?
そもそも、超音波洗浄の原理ですが、
振動子とよばれる振動発生装置が浴槽に直接つけられており、これが浴槽内の流体を振動させます。このとき、振動子の振動は、OOHZで表され、超音波と呼ばれる振動は、20kHz以上といわれています。でもって、市販の超音波洗浄機の振動はおおかた40kHzだもんで、振動子が40kHzで浴槽を振動させるわけです。
超音波で流体を振動させると、高速で震えた流体に振動と振動の隙間に、真空の空隙が発生。これはキャビテーションと呼ばれます。
このキャビテーションが浴槽の中で破裂。
破裂した結果、衝撃波が発生します。この衝撃波が汚れに当たり、汚れを落とすというのが超音波洗浄の原理です。
得意なのは、ブラシが入らないところの洗浄で、例えばエアブラシのノズルなんかの洗浄ではもってこいと思われます。
だもんで、中身は水でも大丈夫なのです。
で、汚れが落ちたかどうか、ピニオンギアを見てみました。おそらく、リールパーツの中で最も汚いのが、ピニオンだと思いますので、コレがピカピカになっていたら合格です!
が、全然落ちてない油汚れ。グリスベッタリ。全く洗浄できていません。
だもんで、中性洗剤をどばどば入れて再実験しました。
結果は!ハイ!全然だめですわ〜!
比較的簡単に洗浄できるサイドプレートの汚れもダメダメ。
2回目、3回目、同じようにしても、全く取れているような気配はなく、全然ダメです。
これは使い物になりません。
水じゃラチが飽かない!
次の試みとして、気合一発、
アセトンで洗浄することにしました。でもって、超音波洗浄器の要注意点ですが、アセトンを浴槽の中に直接入れないというのがあります。というのも、振動子の振動で、浴槽が振動腐食(エロージョン)することがあるらしく、振動子に可燃性の液体が当たると火事になるという理由です。また、揮発性の溶剤を振動させると温度が上昇するため、熱くなったアセトンが燃えやすく危険ということもあります。
だけどま、10分くらい大丈夫じゃろ!?というわけで、ビーカーにアセトン入れて様子を見てみました。
ここで裏技ですが、
通常、超音波洗浄器の説明書には、浴槽の中におさまるものを洗うように書かれていますが、そもそも、振動ってやつは流体中で伝わるのです。だもんで、例えば長ぼそい筒の中に水をナミナミいれて、超音波を発生させると、浴槽に使った部分が振動します。つまり水分子が振動するってわけ。
そして水分子の振動は、他の水分子と衝突し、衝突された分子も振動します。だもんで、振動が伝わり、浴槽の上の流体も振動し、キャビテーションが発生します。だもんで、浴槽の振動がシッカリと内部まで伝わるような材質の入れ物に、流体を入れておけば、その流体全部が超音波洗浄できるというわけなのです。ただし、振動を伝えやすいものでないとダメで、やりこいものだとダメです。例えばプラ容器とかはNG。ガラスまたは金属製カップとかだったらOKです。
この場合、ガラスビーカーを使っているのでOKですw
通常、アセトンはあまり匂いがきつくない溶剤ですが、それは上級アセトンの場合。ホムセンとかに売っているアセトンはFRP洗浄で使われる純度が低いもので、混ぜ物がしてあるのか、強烈な匂いを発します。出来ることなら野外でやったほうが無難です。
で、スイッチを入れてみたところ、
水のときとはレベルが違う振動と泡!
曇り具合を見てみても、やはり水のときとは別格の曇り具合ですw
ピニオンギアを見てみると、
店長!これいけまっせ!まさかの汚れ落ちw繰り返しますが、水のときとは別格です!!!
そして、ピニオンギアの汚れ具合を確認しながら何度か繰り返して、
きれいになる目安は、3分×3回ですね。
ピニオンギアこれですよ!ホントに、なーんも触ってない。アセトン超音波洗浄9分で、ピッカピカ!ギアの内壁もピッカピカです!
メインギアの隙間もばっちりですw
ややこい隙間の覆いウォームギアの間もこの通りピッカピカ!
で、このギアの部分はロックタイトを付けていたので溶剤でやられるか?と思っていたのですが、何とかいけましたw
こびりついた汚れがなかなか取れないサムレストもきれいそのもの!
しかし、
ゴムパーツはまずかった・・・・。カピカピになってしまいました。。。。サムレストは洗浄厳禁です。
それと、ストップワッシャーも厳禁!
ウォームシャフトやコグホイールなんかのPOM樹脂なんかはラッカーシンナー+超音波洗浄したって問題ないですが、他のはまずいですね(汗)
その後、フレームとペイントサイドカップもアセトンに付けて超音波洗浄やってみたのですが、
ウレタン塗膜は、なんとかやられずもってますね。ただし、本来なら、Oリングはゴムなので外したほうが無難です。
その後ラッカーシンナーでも実験してみたのですが、
ラッカーシンナーはあかん・・・。クリアが禿げました。
まぁ、推奨はせんのんですが、ラッカーシンナーよりはアセトンですな。
この実験により、
リールのパーツ洗浄は、アセトン超音波洗浄(40kHz)で10分が目安ということが分かりました。
2000円の予備実験としては十分過ぎる結果が出ましたw
ただし、まだソニックウェーブ、不便な点があるので、また改良を加えたらアップしますです。
その後の研究
この超音波洗浄ですが、リールのOHだけではなく、エアブラシのOHでも大活躍ということで、ウチでは大変重宝しております。ただ、3分で電源が切れるのは不便やな〜。ここを改造できたらすごく便利なのにな。。。
で、アセトンとラッカーシンナーですが、どっちでも油汚れは取れます。だもんで、今はよりやすいラッカーシンナーを愛用しています。(ラッカーシンナーは4L2000円。アセトンは4000円)
で、瓶の中に入れて使い回ししてたんですが、これだと汚れが落ちてんのか、逆に汚してるのか分からないんで、特に油汚れはにごらせるので、基本は使い捨てがいいですね〜
それと、リールシートの塗装剥がしで、実験したんですが、コイツは泡の出が悪いですが、
こっちは泡の出がいい。
二つとも百均のガラスなんですが、前者は肌がザラザラのヤツですが、後者はツルツルのヤツです。振動が吸収されるのか分かりませんが、ツルツルしたガラス瓶のほうが汚れがよく落ちると思いました。
溶剤の使いまわしについて
エアブラシ関係のところで紹介しているんですが、超音波洗浄をする時に、テフロンの網を作り、その中にパーツを入れてフタを閉めた状態で超音波洗浄にかけていました。これだとニオイが出ないし、溶剤も使いまわしできるしというわけで、便利と思っていたんですが・・・・
一回洗ったら汚れるんですよねこれ。
新品のラッカーシンナーで超音波洗浄1回で、この汚れよう。使い回ししたら、前回の汚れが新しい部品についてしまい、あまりよくないと思いました。
そのため、もう1回1回使い捨てでやったほうがはるかにキレイに汚れが取れるので、溶剤は使い捨ての方がいいです。
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